遺言を作成するにあたって
どのように作成するのか等、疑問に思われることも多いと思います。遺言の作成をお考えの銀座の方は、こちらのQ&Aも参考にしてください。
遺言に関する情報をまとめています
遺言の種類や遺言を見つけた場合の手続きなど、遺言に関する詳細な情報はこちらでまとめていますので、銀座で遺言にお悩みの方の参考になれば幸いです。
事務所の所在地等はこちら
当法人の事務所についてはこちらをご覧ください。銀座にも事務所があり、所在地や連絡先、周辺地図などをご確認いただけます。
遺言作成を依頼する弁護士の選び方
1 遺言は相続分野を得意とする弁護士に依頼することをお勧めします
結論としては、遺言は相続分野に強い弁護士に依頼するべきであると考えられます。
一言で遺言と申しましても、遺言を作成するためには様々な要素に関する知識等が必要となります。
遺言の法的な要件を満たすのはもちろんのこと、遺言者の財産調査・評価をすることや、遺留分、相続税など、広範囲にわたる事項を検討する必要があります。
法律には様々な分野が存在し、ひとりの弁護士があらゆる分野に精通することは現実的には困難です。
遺言を取り扱い分野としている弁護士であったとしても、必ずしも相続分野を得意としているとは限りません。
様々な分野の事件を取り扱っている中で、遺言も受任しているということが多いです。
そのため、遺言について相談する弁護士を選ぶ際には、相続分野を数多く取り扱っていることを前提として、遺言作成の実績が豊富な弁護士を選ぶことが大切です。
続きまして、相続分野の知識、経験、ノウハウの有無が遺言作成に与える影響、相続分野に強い弁護士を探す際のポイントについて説明します。
2 相続分野の経験の有無で結果は大きく変わる
先述のとおり、遺言を作成する際には、遺言の形式的な法的要件を満たすことのほか、遺言者の方の財産の評価、遺言能力、遺留分侵害額請求の可能性と請求された際の対応、相続税のシミュレーションや節税対応など、多岐に渡る相続分野に関する検討が必要になります。
そのため、相続分野に精通する弁護士でないと、適切な遺言の作成をすることは簡単ではありません。
例えば、遺言作成の前提として行う財産の調査や評価を適切に行わないと、相続開始後に相続人・受遺者間での不公平感を発生させてしまったり、遺留分侵害額請求に発展する可能性も生じさせてしまいます。
税務面においても、財産の取得のさせ方を工夫することで、節税が可能となる様々な特例を適用し、相続税の金額を大幅に低減できることもあります。
3 相続分野に強い弁護士を探す際のポイント
相続分野に関する弁護士の技量を測る指標としては、その弁護士が今まで扱ってきた相続分野の案件の数、その中でも遺言作成の数が挙げられます。
遺言は、遺言者や相続人・受遺者の方の関係性や、財産の状況等によって大きく異なります。
遺言の案件を扱った数が多いほど、例外的なケースや困難な場面への対応の経験が積まれていきます。
そこで、相続に強い弁護士を見極める際は、相続分野の案件を集中的に扱っているのかどうか、年間で何件相続分野の案件を扱ってきたか等に注目するとよいでしょう。
当法人には、遺言など相続分野に注力し、得意とする弁護士がいますので、安心してまずはご相談ください。
遺言を作っておいた方がよいのはどのような人か
1 遺言を作成すべきケースについて
結論から申し上げますと、遺言を作成すべき典型的ケースは次のとおりであると考えられます。
①推定相続人がたくさんいる方
②財産が複雑または多額である方
③相続人以外の方に遺産を取得させたい方
④問題のある推定相続人がいる方
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 推定相続人がたくさんいる方
遺産分割協議を行う場合、相続人の数が多くなるにつれ、各相続人の利害関係が複雑化し、遺産分割協議がまとまりにくくなる傾向にあります。
遺産分割協議がまとまらずに争いに発展してしまうと、弁護士を代理人とした交渉が必要になったり、家庭裁判所で調停を行わなければならなくなってしまいます。
推定相続人の方が多い場合には、遺言を作成して誰にどの財産を取得させるかを事前に決めておくことで、遺産分割を巡った争いが発生することを抑止することができます。
3 財産が複雑または多額である方
お持ちの財産の大半が預貯金であるような場合は、比較的分割がしやすいため、分け方を巡って相続人の方が争う可能性が低くなります。
一方、預貯金のほか、複数の不動産や金融商品、非上場株式、高額な動産などをお持ちの場合には、分け方を巡って争いに発展しやすくなります。
財産が複雑または多額である場合も、遺言を作成しておき、誰にどの遺産を取得させるか決めておくことで、相続人間のトラブル発生を抑止できます。
4 相続人以外の方に遺産を取得させたい方
遺言の使い道のひとつとして、相続人以外の方に遺産を取得させることができることが挙げられます。
例えば、事実婚(内縁)関係にある方や、孫、お子様の配偶者などの、法定相続人ではない方に遺産を取得させることができます。
推定相続人がいらっしゃらない方にも、遺言を作成されることをお勧めします。
推定相続人がいらっしゃらない方がお亡くなりなると、財産は最終的に国庫へ帰属することになるためです。
5 問題のある推定相続人がいる方
家族との関係が悪かったり、性格等に難があって日常的に家族との争いを繰り返すような推定相続人がいる場合にも、遺言は役に立ちます。
このような推定相続人がいる場合、遺産分割の際にも大きなトラブルを起こす可能性が高いため、予め遺言を作成しておき、遺産分割協議の余地をなくすことで、遺産分割を巡ったトラブルの予防をはかることができます。
相続人が揉めないよう遺言を作成する際に注意すること
1 遺言は慎重に作らないとかえって揉め事の元になります
遺言を作る目的のひとつは、遺言者の方がお亡くなりになられた後、相続人が遺産分割を巡って争うことを予防することです。
しかし、遺言を作成する際には注意しなければならない点がいくつもあり、適切に作成されていない遺言があると、かえって争いの元になってしまうこともあります。
代表的な注意点としては、遺言の効力に疑いが生じないようにすること、および遺留分を侵害しないようにすることが挙げられます。
以下、それぞれについて詳しく説明します。
2 遺言の効力に疑いが生じないようにすること
実務上多く用いられる遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。
このうち、自筆証書遺言は手軽に作れるという利点がありますが、形式的な要件が法律で厳格に定められており、要件を満たしていないと無効になってしまうことがあります。
また、遺言を作成するには、遺言者に遺言能力があることが必要とされます。
相当高齢になり、認知能力が低下し、遺言能力がなくなった状態で作成された遺言は無効とされます。
実務上は、自筆証書遺言が発見された後、遺言の効力を争うことができる可能性があると、遺言の内容に不満を持つ相続人が遺言無効確認訴訟を提起します。
そして、遺言の形式的な不備や、遺言作成当時に遺言能力がなかったことについて、証拠とともに主張されることがあります。
なお、遺言無効確認訴訟においては、訴えられた側が遺言が有効であることを証明しなければなりませんので、とても大変です。
また、相続人や受遺者、財産に関する記載が曖昧で特定できない場合も、名義変更等の手続きができなくなってしまい、事実上遺言は無効になってしまいます。
公正証書遺言の場合、公証役場において、法律の専門家である公証人が作成しますので、形式的な不備が発生することはほぼないといえます。
また、公正証書遺言を作成する際は、公証人が遺言者に対面で遺言の内容を説明します。
そして、内容を理解していることの確認ができてから遺言が作成されますので、後で遺言能力の有無について争われる可能性も減らすことができます。
3 遺留分を侵害しないようにすること
特定の人が遺産の大半を取得するような内容の遺言を作成してしまうと、遺留分の侵害が発生することがあります。
遺留分の侵害が発生してしまうと、遺留分権利者から遺留分を侵害している者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求されることがあります。
話し合いで解決できない場合には、調停や訴訟に発展することもあり、相続人や受遺者に大きな負担がかかってしまいます。
遺言執行者の選び方
1 遺言執行者の選び方について
遺言執行者になれる人は、一部の例外を除いて制限はありませんので、特に資格を持っている人から選ばなければならないということはありません。
遺言執行者の選び方には、遺言の中で指定する(または遺言執行者を選任する人を指定する)方法と、裁判所に遺言執行者の選任の申立てをする方法があります。
遺言執行者は、遺言に記載された、財産・身分に関する手続きを実行するという役割を持つ人です。
代表的な業務としては、相続財産調査・相続財産目録の作成、相続登記・遺贈登記申請、預貯金等の金融機関での相続手続きなどが挙げられます。
以下、遺言執行者に選ぶべき人と、遺言執行者を指定する方法について説明します。
2 遺言執行者に選ぶべき人
相続開始時点において、未成年者または破産者でなければ、遺言執行者になることはできます。
ただし、実務においては、弁護士等の法律の専門家を遺言執行者とすることが多いです。
遺言に書かれた事項を執行するためには、相続に関する法的な知識やノウハウが必要とされるためです。
例えば、不動産の相続登記や、金融機関等に金融資産の解約・名義変更などを行う必要があります。
遺言執行者に相続人や受遺者のうちのひとりが指定されているケースにおいては、その遺言執行者が法律の専門家に遺言執行に関する手続きを依頼するということもあります。
3 遺言執行者を指定する方法
遺言執行者を指定する方法は、3つあります。
まず1つめは、遺言書において、遺言執行者を指定する方法です。
遺言書の中に、「〇〇を遺言執行者に指定する」という記載をします。
遺言書の作成を法律の専門家に依頼した場合には、その専門家を遺言執行者にしておくと、遺言執行に関わる手続きがスムーズに進められると考えられます。
次に2つめは、遺言書において遺言執行者を選任する人を指定する方法です。
遺言作成時に遺言執行者にしたいと思っていた人が、相続開始時に遺言執行ができるとは限らないことから、このような方法が用意されています。
最後に3つめは、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをする方法です。
遺言執行者の指定がない場合や、遺言執行者が辞任した場合に利用されることがあります。
遺言執行者の選任は、家庭裁判所に任せることもできますし、候補者を申立人が指定することもできます。
参考リンク:裁判所・遺言執行者の選任